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2022年06月24日

秩序警察をめぐるリプロダクトの現状

秩序警察をめぐるリプロダクトの現状



Ordnungspolizei(秩序警察)はナチ政権下における独特な立ち位置と独自の制服・装備体系も相まって、コアなファンには人気なジャンルです。

今回はそんな秩序警察系のリプロダクトを特集します。

その前に秩序警察には関連するものを含めて
●都市防護警察
●警察野戦部隊(警察百人隊、警察大隊など)
●警察予備大隊
★武装SS警察師団(警察官より人員を抽出した武装SS師団)

があります。
消防警察、水上防護警察、防空警察、TeNOなども秩序警察に含みますが、今回リプロダクトを紹介するのは都市防護警察~の部分とします。
また★武装SS警察師団は一番最後にまとめて書きます。
1 シュタールヘルム

秩序警察をめぐるリプロダクトの現状


秩序警察部隊では1918年に採用されたシュタールヘルムが、1930年代後半になっても依然として使われていました。
もちろん国防軍に準拠して、頭頂部が低く突出した通気孔が無い新型ヘルメットを採用していきますが、これらヘルメットはもっぱら警察の野戦部隊に配給されました。
これ自体は世の中にたくさんリプロダクトのヘルメットが出ていますし、デカールのシールも専門店で買うことができます。

2 シャコ―帽


秩序警察をめぐるリプロダクトの現状


都市防護警察でもっとも印象的なのはこのシャコ―帽でしょう。フランスなどでも用いられている円筒形の帽子で、日本だと警備員や、旧営団地下鉄の制服などにも採用されていました。

帽子本体のリプロダクトはありません。正確にはインド製であるにはありますが、写真で見る限り恐ろしい出来だったので、やめといたほうが良さそうです。
警察の新制服が支給される前後は、それまで使用されていた黒一色のシャコ―帽に、新型の警察徽章を取り付けて被っている写真も散見されますため、過渡期の恰好であれば戦後ドイツの古いシャコ―帽をベースに自作してみるのも一つの手です。
警察シャコ―帽用の巨大な金属アドラー、コカルデ(縦長)、顎紐はリプロダクトがあります。


3 制帽、略帽、規格帽


秩序警察をめぐるリプロダクトの現状



秩序警察をめぐるリプロダクトの現状秩序警察をめぐるリプロダクトの現状


都市防護警察にも国防軍同様、制帽が存在します。シャコ―帽は式典や日常の巡邏などに使用していたようですが、制帽も式典や日常の巡邏、また警察野戦部隊での着用があります。
着用の線引きはまことに不勉強ながら把握できておりません。
略帽、規格帽も警察用のものが存在します。
色はポリツァイグリュンと呼ばれる、ややイエローがかった独特な緑色で、これは警察の被覆類に多用された色味でありました。
シャコ―帽の布地部分にも使われています。

パイピングについては以前の記事で触れていますが、

・ポリツァイグリュン(警察グリーン)
☞都市防護警察(Schutzpolizei des Reich)
・カーマインレッド
☞地方防護警察(Schutzpolizei der gemainde)
・オレンジ
☞国家地方警察(Gendamerie)

となります。
いずれもSchmidt und Zohn、EREL、Military harborなどで、また規格帽はElsenau Militariaで販売されています。
オススメは基本的にはschmtdtとElsenauです。
出来不出来がありますので、これは口コミや周囲の意見を参考にするとよいでしょう。

秩序警察をめぐるリプロダクトの現状

左…Gendamerie、右…Schutzpolizei der gemeinde


制服



秩序警察をめぐるリプロダクトの現状


鬼門です。

2022年現在(すぐに手に入るという意味で)販売しているのはMilitary horborですが、ここの製品は警察グリーンの再現ができていません。
2022/8/26 NEW 警察グリーンの制服、野戦服が大量にリリースされました!

色味と再現度にはまだ注文がつくような出来ではありますが、サバゲーで遊ぶレベルでは十分な価格とできかと思います。

作り自体は地下神殿(隠語)での評判は良かったのですが、私見ではあまり満足のいく外観ではありません。

もっとも、警察グリーンの生地の再現は難しいらしく、オーダー制服を中心にしている方に伺った際も、この色の生地の調達は難しいと仰っていた風に記憶しています。

エスアンドグラフでのフルオーダーで10万円ほど掛ければ製作してくれますが、これもまた警察グリーンの生地かどうか、事前に照らし合わせてみる必要があります。

実物を所有してみることが、ヒントになるかもしれません。
秩序警察は動員数が多かったためか、制服の残存数が多く、海外フォーラムなどでも購入できます。

秩序警察をめぐるリプロダクトの現状


制服のズボン

23/6/6 追記 上記ミリタリーハーバーでズボンも各種出ました。濃紺のズボンも出ております。

これもちゃんとしたレプリカが無いのですが、過渡期のスタイルとして、ワイマール時代の濃紺のズボンを履いているケースが時々見受けられます。これは実はオーストリアの業者がレプリカを(なんと上も!)作っているので、輸入の問題さえクリアできれば揃えることはできます。
実際、22年のVショーの会場でもベルリン市警(秩序警察の新制服導入前)の恰好をされていた方がいらっしゃいました。


徽章類

服のレプリカは無いのに徽章のレプリカはけっこう在ったりします。
国内はschimitd und Zohn、海外だとNESTOFなどに襟章や肩章、袖章などがあります。
金属製のレプリカはRegalia specialistなども販売しております。
秩序警察は所属する組織のカラーによって徽章が分かれており、肩、襟、袖の色を揃えてあげることが大事です。


装備品

秩序警察をめぐるリプロダクトの現状


警察野戦部隊の装備品は警察独自のものもあり、特に野戦服や雑嚢などは有名です。ともに警察グリーンのやや淡いエメラルド色のものが現存しています。
いちおう雑嚢はレプリカはあるようなのですが、出来は何とも言えぬものだったみたいです。

野戦服は寸胴鍋で染料と煮込んで作った猛者は知っていますが、海外のリプロは未発見です

9/27追記 先ごろMiritary horborからM41~M44まで、また8個ボタン制服のレプリカも登場しました!

銃剣飾緒のレプリカは存在します。

野戦部隊については小銃や銃剣などは、ワイマール時代のものをおさがりで使用していた時期も多く、実際の写真でもけっこうマチマチです。

都市の警邏に当たる都市防護警察は基本的にはベルトを装備し、拳銃や銃剣で武装していました。場合によっては現場検証が必要となる場合もあるため、カメラや証拠保全用の標識、メモ帳なども所持しています。

国家地方警察のように地方の町や村落などで1人ですべての業務を完結させる必要がある警察官は、オートバイが必須のため必ず免許を持っており、また都市防護警察ないし地方防護警察で10年のキャリアを積んでから任用されていました。
ベテランの警察官は陸海空軍に抽出されて野戦憲兵として勤務したり、また警察野戦部隊の中核として将校や下士官に登用されたりしました。

若い兵卒が国防軍の徴兵で枯渇すると、警察では確保できた若年の警察官を防護警察や警察野戦部隊に配備する一方で、軍の徴兵対象外の30~40歳前後の壮年男性を徴兵し、「警察予備大隊」として組織しました。
警察予備大隊は占領地の治安維持やパルチザン対策、ホロコーストに関わる分野ではゲットーへのユダヤ人の移送警備、強制収容所に向かう列車へのユダヤ人の積み込みと列車警備、そして支配地域下で起きたドイツ人に対する敵対行動への「報復」、特定の村での集団処刑などの「最終的解決」にも関与しました。


総論


いずれ警察グリーンを再現できるメーカーが現れればと心待ちにしてはいるのですが、いまのところは運よく映画会社か何かが放出したものを手に入れるとか、そういった奇跡待ちの状況です。
特に勤務用の制服、警察グリーンの野戦服などは自作やフルオーダーの世界になってくるので、ビギナー・ベテラン問わず敷居の高い分野であることは確かです。




★武装SS警察師団

武装SS師団は第1、第2、第3がそれぞれ戦前期から存在したSS組織を母体に持っていますが、第4は秩序警察から人員を抽出しており、出自が明確に異なっています。

そのため成立初期には、SSと警察の徽章の混在が見受けられました。



秩序警察をめぐるリプロダクトの現状



こちらの写真は最も有名な一葉です。

白黒では陸軍のように見えますが、国家鷲章が左の袖にあり、またベルトのバックルもSSであることから、SS所属であることは分かります。
この場合、襟章と肩章は陸軍の装甲擲弾兵(グラスグリーンの兵科色)のものであるという見解があります。
服は陸軍もしくは武装SSのM36、M40タイプを使用。
警察官でSSに転属した隊員は左ポケットの下にSSルーンの刺しゅうが入った徽章を縫い付けることになっていました。この写真は皺に挟まっていますが、確かにSSルーンを着けています。
後年になると外国人を中心に編成されたSS師団では、指揮するドイツ人を識別するものとしても使われたという噂話があります。

ヘルメットにも警察の時のままのデカールを貼っている写真があったり、警察の略帽を被っている写真もありますが、いずれも徐々にSSの形式に統一されていったようです。

したがって後年に現れている野戦装備をした警察官は、SS警察師団ではなく、警察野戦部隊である可能性もあります。
装備品や徽章から読み解くことが重要です。




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